ネットワークの基礎(3) TCP/IP (IP編)

IP

IP-InternetProtocolはネットワーク層におけるプロトコルでインターネットワーキングに特化して設計されている。
 実用面では単独で使用される事は少なく、TCPUDPなどの上位プロトコルと組み合わせて実装される。

TCP/IPプロトコルスイート

 IPと整合性の高い、或いはIPを下位プロトコルとして位置づけているプロトコル群のこと。現在主流はIPv4だが、徐々にIPv6への移行が始まっている。
 TCP/IPプロトコルスイートは独自の階層構造を持ち、4階層に分けられる。
 IPはインターネット層のプロトコルで、同階層にはICMPやARPなどがある。もう一段下にはネットワークインターフェース層があり、物理的なデータリンクはここで意義されるためIPはネットワーク構成するハードウェアの部分をあまり意識せずに規定される。

IPの特徴

 IPはコネクションレス通信を提供するプロトコルで、以下のような特徴を持つ
 ・パケット通信技術
 ・ベストエフォート型
 ・経路制御を行う

 ベストエフォート型というのは、「できうる限り最高の品質」を提供するタイプの品質規定。「努力はするが保証はしません」、「やります」ではなく「がんばります」などがベストエフォートの例。コスト面で絶大なアドバンテージを誇るものの、字面からイメージできるようにあまり信用の置けるものではない。
 IPにおける通信でも通信品質の向上は当然ながら必要になってくるが、IP自体はそこまで手を広げず、別の場面で補うのが基本的なスタイル。
 基本的にIP自体はとてもシンプルに、「最小限度」の機能しか持たず、それ以外の機能については他で実装するような形をとる。これには明確な機能分離を行う事で構造を簡略化でき、さらにそれぞれの機能の変更が他の機能へ与える影響を抑えるメリットがある。

IPヘッダ

 パケット通信ではパケットの先頭にそのパケット自体の情報が付加される。
 これをIPヘッダと呼び、内容としては宛先や送信元、パケットの大きさや寿命などが記述される。
 TCP/IPでは各階層ごとにこのヘッダを付加していく。そのためある階層に於ける通信パケットはそれ以前の階層のヘッダも所有する事になる。IPで取り扱うパケットのヘッダをIPヘッダと呼ぶ。
 IPヘッダに含まれる細かい内容は割愛。

IPv6

 IPv4においてアドレスは256の4乗個存在し、当初はそれだけで世界中のアドレスをまかなえると考えられていた。が、ズサンな管理と予想外の普及スピードにより(主に前者の理由で)IPアドレスは徐々に枯渇しつつある。
 そこでIPv4の後継規格としてIPv6が設計された。
 あまり注目されないが単純なアドレス数の増加だけに留まらずいくつもの機能強化も施されている。

アドレス数の増加

 IPv4は32ビットアドレスを用いており、2の32乗(=4の16乗=16の8乗=256の4乗)個のアドレスを利用できた。
 対するIPv6は128ビットアドレスを用いており、2の128乗(〜43億の4乗)個のアドレスを利用可能となっている。

表記方法

 IPv4が2進数表記(或いは3桁10進数4区切り)だったのに対し、IPv6は4桁16進数8区切りの表記となる。