吉田直 Trinty Blood Canon -神学大全-

久しぶりにスニーカーですよ。
今更ですが故・吉田直氏を読み返してみる。
そしてやっぱ、よく練られてるよなと思う。
 
遺稿と、残されたメモから復元された世界観とやらは
思いの外緻密で、かつ、新たな謎を提起してくる。
 
有名人の急逝に衝撃を受けたのは吉田氏が初めてだったりするわけだが、
未完の大作という奴は悲しいなと思う。
 
 わからない人に軽く説明すると、
 最近アニメ化もされた「トリニティ・ブラッド」というシリーズが角川スニーカーから刊行されていて、これがイマドキのライトノベルとしてはかなりの秀作で、その手の人の間では大人気だったわけです。
 遠未来、世界崩壊後の人間と吸血鬼の戦いの物語 と言うとありきたりに感じてしまうのですが、その設定の緻密さや壮大な世界観がその辺の吸血鬼モノと違う。あんまりほめられた基準じゃないが、長編6冊、短編6冊出してもまだ人気も勢いも衰えないほど。しかもそれでまだ完結を見せない(かつ、冗長さを感じさせない)緊迫した展開。とにかくすごい作品だったわけです。
 が、作者は突然の病死。そしてトリニティブラッドは明かされることの無かった謎と、語られることの無かった物語とともに、未完の大作という寂しい称号を得てしまったわけです。読み返して、彼が最後に出した長編のあとがき。「すでに構想はすべて頭の中でできあがっているので、あとは文章化するだけです」これがとてもむなしく響きました。
 
ちなみにこれが去年の夏。
今日突然そんな話が出たのは久々に読みたくなったから。
そしてあんまりやりきれなくなったのでここに書いてみた。
 
次に読み返すのは来年の夏かな?