恩田陸 ねじの回転(下)

 

ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)

ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)

 
そのまま下巻も一気に読破。
でも後半から終盤に行くにつれてちょっと先細りな印象が否めない。
竜頭蛇尾って程ではないが、後半息切れ感があった。
 
時間を遡って歴史を変えようとする未来人。
変える舞台は日本の二・二六事件
ストーリー全体の展開は緊迫感もあるしリズムもいい。
ただ、個人的に一番大事だと思う必然性がやや弱い感じ。
 
小説読んでていつも思うことだけれど、読んでて違和感を感じるような展開は(意図的にやっている場合は別として)面白い話ほど白けてしまう。
特にのめり込んで読んでいるときに違和感が突然顔を出すと酷い。
急につまらなくなってきて、引き込まれていたところから一気に現実に戻る。
そのあとに持って行きたい展開があって、そのための精一杯の伏線なんだろうとは思っても、それまでの緻密さを吹き飛ばしてしまうつまらなさがイヤになります。
 
やはり人物の行動でも、時代背景でも、世界観や設定でも、一理あるなと思える必然性が大事だと思うわけです。
逆にそういったところをちゃんとしている作品てのは「共感できる」とか「緻密な世界観に震えた」とかいう評価をされて人気がでるんじゃないですかね。
 
と、閑話休題
 
なんか貶しているみたいな文章になっちゃったけど、かなり面白い作品ですよ。
あえていうなら、「細部についてこんなに愚痴りたくなるほど全体が秀逸」
・・・やっぱり俺貶してる?(いや、そんなつもりはない。断じて)
読み始めてすぐに引き込まれる強烈な印象と途中で閉じられない緊迫感、
さらに時間遡行といえば定番のタイムパラドクスと、「三月は…」に似た入れ子構造。
ぐるぐる考えるのが苦痛じゃない人ならかなり楽しめる一冊。
ぐるぐる考えるのが苦痛な人でも普通に楽しめる一冊だと思います。
 
やはり今年は森と恩田の年になりそうです