森博嗣 笑わない数学者

 

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

 
これで森博嗣は7冊目。
ミステリーだけだと3冊目だが、だんだんとトリックと犯人の見当がつくようになってきた。
細部で微妙に違うんだが、大筋一緒なので大いに満足。
・・・作者の思惑通りなのか?
 
今回はプラネタリウムのある館で起きる不可解な殺人事件。
消せるはずのないブロンズ像が消え、不可解な殺人が起きる。
今回の作品を読んでいて、プラネタリウムではないが地元の科学館を思い出した。
原子力発電所併設で、半球状のスクリーンを持つシアターホールがあった。
視界360度いっぱいに広がる映像が好きだったのだが、中でも忘れられないモノが一つ。
 
以下、読んだことある人ならわかるんじゃないかという記述。
 
その映画は宇宙空間(無重力空間)における人間の感覚みたいなのがテーマで、こんな一シーンがあった。
「人は他の感覚を遮断されると、姿勢やバランス感覚を視界のみに頼る習性がある。
 たとえばこんな映像を見せられると、動いているのが自分か画面かわからなくなる。」
こんなナレーションとともに、頂点の一転を中心に回る無数の水玉模様の映像。
確かにそのとき、画面が回っているだけに決まっているのに、一瞬自分が回っているかのように錯覚した。幼少期の俺にとっては、何故かそのときのインパクトが強烈だったようで、未だにそのシーンだけはっきり覚えている。
 今回の話に出てくるプラネタリウムの場面では、このシーンが急に浮かんだ。
 そのおかげでトリックがわかったように思える。

しかし冊数を重ねるたびに意外な結末度が下がっていくのがやや気がかり。
一方で「さすが俺」的優越感が上がっているのでまだまだ読むけどw
 
 
そういえばもう一つ。
犀川が「小学校の頃はいつも下を向いて歩いていた」という一説があったけど、俺もその口でした。独りで下校して延々下を見て歩く。そして駐車された車にぶつかるw
いつの間にかその癖は直ったが、下を向いて歩くのも意外と悪くない。
うーえをむいて、あーるこーうよ の対照として暗くみえるが、べつにネガティブで下を向いているわけではない。純粋に足元に興味があるから下を向く。側溝の蓋や雑草、虫など当時はずっと見ていても飽きなかったのである。
犀川のようにモノの数を数えることはしなかったが、だいたいどの辺にどんなモノがあったかは覚えている。ヤスデがよく死んでいる場所とかミミズがよく死んでいる場所とかよくわからないけど甘い匂いのする木の実が落ちる場所とか色々あった。あとよく車が駐まっている場所w
でも田舎だからこそ出来たコトに思う。
仙台でやったら人にぶつかる。車にひかれる。無理。
 
街中では、前を向いて歩こう。