森博嗣 詩的私的ジャック

 

詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

 
試験期間ほど読みたくなるこの不条理。
今回の話は今までと違ってずいぶんと俗っぽいというかありきたりな雰囲気。
前三作が閉塞された理系人間の領域を舞台にしていたのに対し、今作は街中。
日常から切り離すわけでもなく、むしろ日常をモロに持ち込む展開。
それはそれで嫌いではないが、ちょっとイマイチだった感もあり。
 
これまでは単純に主役二人が外界とどう関わっているかの話だったのに対し、
どちらかというと今回は二人が内面的に一歩前進するための話 みたいな印象。
この先をうまく展開するための伏線が一冊通して張り巡らされたような・・・。
 
一方で本来この次の作品になるべきだった「すべてがFになる」につながりそうな描写もいくつか。というか本来そういう想定で書いたのであろう展開が多数。"F"で転を引き起こす予定で盛り上げた登り坂っぽい雰囲気が随所に見受けられた。
空振りになってしまいさぞかし残念だったのではないかと思いつつ、むしろ残念がっているのは読者なのかもしれない。ていうか読者「俺」?とぐるぐる寝ぼけ頭が回る。
 
そして明日はきっと試験勉強。明日こそ試験勉強。明日からは・・・