さおだけ屋は何故つぶれないのか

 

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

 
この物語はフィクションです。実際の人物、団体、書籍とは一切関係ありません。
 
た〜けや〜さお〜だけ〜
どういうルーツかは不明だが全国規模で有名なこのフレーズ。
売れているところなんて見たことないのに何故絶滅しないのか?
その謎に女子大生会計士(の事件簿の著者)が切り込む。
 
まず現時点で分かっていることは以下の通り

  • 全国規模で「た〜けや〜さお〜だけ〜」を展開
  • 2本で1000円。20年前のお値段
  • トラックで道路をのんびり走りながら町内を巡る

 
こんなさおだけ屋、もちろんあんな物干し竿を売って儲けているわけではない。
そこには数十年にわたり根ざす日本という国家の暗部が隠されていた。
 
まず20年前のお値段とか言っているが、これは宣伝文句でも何でもない。
冷静になれば分かることだが、20年前と言えば1980年代。まさにバブル絶頂期。
インフレに次ぐインフレ、メガドライブが21000円もした時代なのである。
バブル崩壊以降のデフレスパイラルによる影響を鑑みれば、安くなって当然。
マクドナルドなんてハンバーガーが今や2桁である。
価格据え置きなんてうまい棒チロルチョコぐらいしか許されない。
つまりこれは、的はずれな宣伝文句を流す時代錯誤で古風な業者 というイメージを民間人に植え付ける巧妙な策略なのだ。
またここには、20年も前からある といういて当たり前という印象を受け付けるのにも一役買っている。
 
また、商品が物干し竿という、まかり間違っても60過ぎのおばあちゃんぐらいしか買いそうにないマイナー商品という点も重要である。これにより妙な安心感を植え付け、さらに本当に客が殺到するという事態を巧みに回避するわけである。
 
そして、さおだけ屋は堂々と町内を走行する。
ゆっくりと、辺りをじっくり見回しながら走っても誰も気にとめない。
せいぜい騒々しいと迷惑がる程度である。
普通なら車が来ないような路地にだってどんどん進入してくる。
そして、町内を隈無く巡回するわけである。
 
さて、勘のいい諸氏ならそろそろ気づいたのではないだろうか。
そう、さおだけ屋はあなたの街を監視する全国規模のスパイ組織だったのだ。
覆面パトカーや内閣調査室の黒塗りクラウンなんかがウロウロしてたら、新聞も読まないニートだって不審に思う。下手したらどこぞの板の超重要人物な住人にスネークされるなんて事態も起こりかねない。
かといって長髪長身上下ジーンズな刑事さんがマカロニウエスタンに出てきそうな時代錯誤な先輩と一緒に「捜査は足でするもんじゃい」とか云って巡回してもやっぱり怪しい。それに効率も悪い。
 
そこでさおだけ屋である。
全国展開して日本中、どこのイナカも大都会も軽トラ使って路地裏まで常に監視。
裏のおばあちゃんの体調から、埼玉のヒキコモリ大学生の動向まですべて掌握。
かつてはサティアン周辺を巡回しあの教祖の潜伏場所を突き止め、
ネオな麦茶のバスを追跡し、新興住宅街における毒殺事件の重要な証拠も入手した。
ここ数日紙面をにぎわしているM上Fンドのインサイダー取引も、物干し竿に仕込まれたCCDカメラがその証拠をとらえている。
 
そんなエシュロンも真っ青な裏の顔が、あの間の抜けた歌の無効に存在するのだ。
 
近年は登下校する児童の監視・保護や、日本海沿岸における上陸警戒等の役割も担い始め、ますますその権限を拡大している。
 
そんな国家的影響力を受けたさおだけ屋。
潰れないのも当然である。
 
 
 
 
 
という風な話は全く書いてないこの本。
 
一昔前に流行ったけど、確かに興味深い内容でした。
CIAとか内閣調査室に興味はないけど、会計ってモノのもっと実感を伴って知りたい。
なんて人にオススメかも。