恩田陸 三月は深き紅の淵を

以前から気になっていた一冊。
幻の小説「三月は深き紅の淵を」を巡る4編。ということだったので、
無限に入れ子構造が続くメタな小説家と期待していたのですがそういうわけではなかった。
まあ、市販されている時点で「幻の小説」ではないわけで、当たり前と言えば当たり前ですが。
んでも、期待と違ったのは方向性だけで、内容は大いに楽しかったです。
ミステリー調の展開は次々とこちらの予想を覆し、いつの間にかのめり込んでいました。
随所に伏線が張り巡らされているのに、最後はちゃんと一つに収束する。
しかも謎は謎として残される。それもおそらく意図的に。
 
読後感がとても心地よい一冊でした。
恩田陸にはまりこんでしまいそうです。