川端裕人 The S.O.U.P.

ネットワーク犯罪を扱ったSFライクなミステリー。
でもそこいらの奴とはちょっと違う。
何が違うって、専門用語を躊躇無く使っているところ。
この手の話はたいてい、技術周りの話はごまかすかでっち上げるのが常だけど、
こいつはそれなりに納得のいく解説をしてくれる。
 
全くPCに造詣のない人が楽しめるかと言われたら難しいところだけれど、
イマドキblogとか書いちゃってる人なら違和感なく読めそうな構成が秀逸。
妙に技術用語に詳しい話にありがちな、説明が浮いてる感じもない。
 
出版は2001年8月で、当時のネットを取り巻く状況を思い出しつつ読むと感慨深い。
映画が公開される前なのに指輪物語を扱ってるところとか、
当時注目されはじめたばかりだった複雑系のトポロジに言及してるあたりもすごい。
 
今だからいえるけど、ずいぶんと先を行った小説だったんだなと思う。
まあ、刊行当時に読んだらここまで印象受けなかっただろうけどね。